チック、トゥレット症候群のお話

 

 チックとは、突然出現し,繰り返す動き(運動チック)とやはり突然出現し,繰り返す音や声(音声チック)とを主な症状とする、小児期に発症し,慢性に経過する病気です.運動チックには,まばたき,顔しかめ,首振り,肩すくめ,腕振り,体のねじり,ジャンプ,人や物に触るといった,多彩な動きがあります。音声チックには,咳払い,鼻すすり,叫び声,卑猥な言葉や不謹慎な言葉,自分や他人が言った言葉を繰り返してしまうといった症状があります.チック症状は寛解と増悪を繰り返すのが特徴で、患者の多くは10代後半から症状が改善し、患者の多くは大人になるとチックの寛解を経験します。トゥレット症候群は重症チックと言われるもので、多様性の運動チックと一つ以上の音性チックの両者が見られます。チックは一日に何回も(普通群発して)起こり、一年以上にわたってほとんど毎日あるいは間欠的に見られます。この経過中、三ヶ月以上連続してチックが消失する事が無く、そのため著しい苦痛を受け、社会的、職業的または他の重要な機能における分野において、かなりの損害を被る神経の病気です。トゥレット症候群には,高率に併発症がみられます.併発症には,強迫性障害,注意欠陥・多動性障害,学習障害,睡眠障害,気分障害などがみられます.

 

原因

 神経伝達物質(ドーパミン、セレトニン等)の異常が原因と考えられています。トゥレット症候群は遺伝的要因が強いこと、神経伝達物質阻害剤の投与で症状が抑えられることから、従来言われてきたような、厳しいしつけや母親の愛情不足によるといったような心理的原因ではなく、生物学的原因によると考えられています。しかし、環境因子が症状の憎悪に関与している側面もみられます。

 

治療

 精神療法、薬物療法が基本ですが症状および薬剤感受性の個人差が強く、患者さんにあった治療に画一的なものはありません。専門医の診療が必要です。ストレスが症状を悪化させることは明らかですので、家族の理解のみならず環境の調整も重要です。

病気の話あれこれへ戻る