伝染性軟属腫(水いぼ)のお話

水いぼとは

 いぼ(疣)とは皮膚に見られる良性腫瘍全般を指します。多くの種類が知られ、そのほとんどはウィルス感染によるものです。目立つものですから昔から嫌がられていましたが、決して悪性のものではなく、自然に消えてしまいます。ウィルス感染によるいぼは人から人に感染するためさらに毛嫌いされ、いじめの対象になることがあります。いぼの中で子供に見られるもののほとんどが、ポックスウィルスによる水いぼ(伝染性軟属腫)です。表面が滑らかで、皮膚と同じ色またはやや白で、体のどこにでも出てきます。大きさは1ないし5mm、その発生のしかたは1ないし2個の単位で全身に散在するもの、一ヶ所にまとまって発生するものと一定の傾向はありません。しかし形、大きさ、色から診断はそれほど難しくはありません。症状はほとんどの場合ありませんが稀に痒みを伴う場合があります。また突起物を気にして触り、傷をつけ、化膿させることがあります。

 

どのように感染するのでしょうか

 感染力は強くプールで感染することが知られていることから、プールで感染すると誤解されていることが多いのですが、決してプールだけで感染するのではなく、プールでも感染すると言わなければなりません。プールよりも感染頻度としては日常の接触感染によるものの方が多いのです。

 

どのように治療するのでしょうか

 水いぼは生体の免疫反応により必ず自然に消失します。多くは6ないし9ヶ月で消えますが、なかには数年かかってしまうものもあります。除去する方法には、ピンセットでつぶして取る、硝酸銀を使って化学的に焼き切る、液体窒素を使って瞬間的に凍結させて取る方法が現在行われています。これらの共通の問題点は、取ってもまた出てきてしまう、取るときに痛い、最も問題なのは時に消えない瘢痕を残してしまうことです。しかし強制的に除去しますと、あとから出てきても治るのは早くなります。また全部を除去しなくても主なものを取れば残りのものも早く消えます。痒みがあるか化膿しているものは、治療しなければなりませんが、症状のない水いぼを積極的に取るか、自然消失するのを待つかで意見は分かれます。集団生活やプールでの感染があることから、以前は必ず取るようにと指導されていました。しかし水いぼそのものは悪いものではなくほとんどが無症状、現実に多くの幼児に見られ、目立たない部位のものは放置しています。取るときの痛みが相当強い、時に一生消えない痕をを残してしまうことから、幼稚園、保育園では積極的に取るよう指示している所は少なくなりました。しかしまだ一部に除去を義務づけている施設があり、また医師の間でも積極的にとり、他人への感染を極力減らさなければならないとする考えも少なからずあります。しかし水いぼ消失後は終生免疫が成立し、その後の発症はなくなります。思春期に顔等目立つ所にできてしまうより、なるべく幼児期に感染を済ませた方がいいと思われますがまだ多くの合意にはなっていないようです。

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